法人税申告書(別表)の細かい書き方は「最初は」税務署で聞くのが効率的。

目次
法人税申告書(別表)を税理士なしで作成するには?
私は2017.10~に脱サラして吹けば飛ぶような小さい会社を設立しました。
今回税理士なしで法人税申告書を作成し税務申告を1人で終わらせました。基本私の会社は1人法人で規模が小さいです。
そういう前提であることをご理解の上読み進めていただければと思います。
法人税申告書の「細かい」書き方は「最初」は調べない方がよい
私が実際にやったことでしないほうがいいなと思ったことは
法人税申告書の「細かい」書き方は「最初」は調べない方が良い
ということです。
税理士なしで税務申告をするとなるとネックになるのが法人税申告書です。MFクラウドやfreee等の会計システムがあれば決算書までは問題なく作成できると思います。
よってどうやって法人税申告書を作成すればいいかで「法人税申告書 書き方」等でグーグル先生で調べると思います。
これが良くありません
でてきたものをクリックしてみると
①別表4の〇〇に税引前利益を入力
②別表5-2に前期法人税を~
③別表6の~
のような具体的な書き方を説明してくるものが多いです。
がこれは無視した方がよいです。
なぜならば、企業は千差万別なので自分の会社とは違う具体例をみても役にも立ちにくいからです。最初から細かい書き方を理解しようとするとスケート初心者がトリプルアクセルにいきなり挑戦するようなもので無謀です。
調べるとどうしても細かい書き方に焦点が当たってしまいますが、細かい書き方はまず無視しどの別表が何について書かれているのかの理解と自分の会社にどの別表が必要かを理解することに力を割きます。
自分の会社にどの別表が必要かを最初に理解すべし
法人税申告書の作成でめんどくさい別表ですが全部で19種類あります。
19種類が何のために必要な書類かを市販の本等で勉強します。
下記の本あれば、ほぼ理解できると思います。
2019年申告用 別表の書き方がスラスラわかる 法人税申告書虎の巻
その中でどの別表が必要になるかを理解することを第1にするべきです。
私の場合であれば、
別表十一:貸倒引当金
別表十五:交際費
別表十六:減価償却費
等々は設立まもなくこじんまりした会社のためありませんので一切必要ありませんでした。
調べると交際費や減価償却について説明している本やネットなど多いと思います。がこの時点の私にとっては全くの無意味なものでした。
交際費などは損金に利用できるとは思いましたが、どこまでを経費で落とせるかの線引きできるだけの知識・経験がなく、法人税申告書を自分で作成することを踏まえ、あえて「0」にすることを選びました。
このように自分の会社に必要なことを理解しないで勉強しようとすると無駄で関係ない勉強をすることになり、恐ろしく効率が悪くなります。そのためにまずは上記の本で別表がどういうもので何のために必要かを理解しておくことがとても大事になります。
私にとって必要なのは8つだけでした。
どの企業にも必ず必要な5つ
別表一:所得の申告書
別表二:同族判定
別表四:所得の明細
別表五㈠:利益積立金・資本金明細書
別表五㈡:租税公課
と第1期目は赤字で終わってしまったことと、創立費を計上したこと、預貯金の利子の計算で、個別に必要なのは以下の3つでした。
別表六:所得税額控除
別表七:欠損金
別表十六:繰延資産
以上のように自分の会社でどの別表が必要か?を理解するが最初にやることだと思います。
別表の細かい書き方を「最初に」理解しようとするのは効率が悪いです。
再度繰り返しますが、ポイントは以下を理解することです。
・どの別表が何について書かれているかを理解すること
・それを踏まえ自分の会社にはどの別表が必要になるか
挫折するパターンは
・自分で初心者には難解な別表4と別表5-1、5-2を完成させようとすること
です。
アマゾンの法人税申告書の書き方の本のコメントに、「買ってみたけど、ぜんぜん法人税申告書が作成できなかった」というコメントがだいたい載っています。
これは単純に本に別表4、5の完成させることを目的にしているのが間違えということです。
簡単な別表は作成しておく
19種類ある別表の理解と自分の会社の必要な別表を理解できたら比較的簡単に作成できる別表は作ることをします。
別表は、
①複数の別表が連動して作成が難しいもの
と
②単独の別表のみで簡単に作成できるもの
があります。
作成が難しい別表は自力をあきらめる
①複数の別表が連動して作成しなくてはならないものは作成が初心者にはむずかしいので自分で記入するのはあきらめます。
難しいのは必ず書かなればならない以下の別表です。
別表一:所得の申告書
別表四:所得の明細
別表五㈠:利益積立金・資本金明細書
別表五㈡:租税公課
これらは互いに数字が連動するところもあり初心者が書くのは困難です。
自分で調べようとしても、前述のように自分の会社には必要ない「減価償却や交際費」などをたくさん使った例が通常でてくるので、逆にわかりにくくなり混乱します。
そのため、自分で書くことをあきらめるということをします。
その代わり次のことをやります。
本をみればわかやすい別表は作成する
②単独の別表のみで簡単に作成できるものであれば本を見ながら等で作成することができます。
代表的な例は
別表二:同族判定
などは本をみながらで比較的簡単に作成することができます。
もしわかりにくいところがあれば、税務署にいって「こうやって書きましたが、あっていますか?」と聞けばいいだけです。
無料なので何度でも税務署に行って聞きましょう。私は1日の2回行ったこともありますが、気になることがあればガツガツ訪問してききました。
がしかし、礼儀として自分が「何がわからなく、何を教えてほしいかは明確」にしておく必要があります。
ざっくりわからないんですけど、教えてくださいというレベルでは税務署に行ってはいけません。
脱線しましたので元に戻します。
別表二のように本などで調べれば、単独で書けるものを書いておきます。
そして、書き終えたら
・自分で書いた別表
・数字がしっかり完成された決算書
・白紙の別表1、4、5-1、5-2
をもって税務署にいきましょう。
ポイントは最初は、数字がいろいろと連携する別表1,4,5は税務署に丸投げするということです。
別表・決算書をもって税務署へいく
自力で作成できた別表は実際に書き方があっているか確認してもらいます。
自力で作成した別表と決算書を税務署職員にみせてこの利益の状態と作成できた別表をもとにすると
別表一:所得の申告書
別表四:所得の明細
別表五㈠:利益積立金・資本金明細書
別表五㈡:租税公課
はどのように書けば良いでしょうか?
と聞くと丁寧に教えてくれます。
私の場合は、別表1、4,5を自分なりに書いてもっていきましたが、結局は訂正されるので白紙でもよいと思います。
税務職員は、しっかり決算書作られてすごいですねというお世辞をもらいながら、
別表4にはこの数字を書いてください
別表5-1はこの数字
表5-2はこの数字
別表1は言う数字をドンドン書いていってください
等々で記入が終わり、10分程度で別表4、5-1、5-2、別表1が完成しました。
あっさりと終了しました。
決算書の数字がしっかり固まっている状態で税務署にいけば、10分程度で初心者には難しい別表が作成できてしまいます。
こんなものでした。
そして後述しますが、完成された法人税申告書を眺めながら再度、別表4と5と1についての理解を深めにいけば良いです。
実際の自分の会社の決算を通じて、再度別表を眺めると理解度が深まると思います。
注意:税務職員も間違うこともある
上にあげた例で別表は完成できますが、税務職員でも間違うときがあります。
実際に私の場合でも間違っていました。自分で理解した後に別表を眺めていると「違うな~」と思える箇所がありました。
そこで改めて税務署にいって「ここ違くありませんか?正しくは〇〇では?」というと「そうですね」となりました。
こわ~!と思いましたが、そういうこともあろうかと疑ってみていたため、訂正できることができました。
そのため、本当に丸投げして信じて申告してしまうのはリスクがあります。
一度税務職員に見てもらって終わりでなく、一度別表が完成した時点で再度書き方を自分である程度わかるレベルまで理解しにいくのが良いと思います。
最初に細かい書き方を覚えるのはなく実際に完成した別表をもとに再度細かく理解しにいくという方が頭に入りやすいと私は思います。そして自分でもチェックし後日もう一度税務職員に確認してもらうというのが安全だと思います。
追徴課税になったときに税務職員にみてもらってますけど・・。
というのはもちろんですが通じないため万全を期す必要があります。
☆法人税申告書を自力で作成するコツ
やってはいけないこと
×法人税申告書の本を買って実際に申告書を完成させようとすること
×ネットで法人税申告書の書き方を調べて申告書を完成させようとすること
これをやるとドツボにハマります。
法人税の申告書は会社によって書き方が何通りもあります。よって本やネットで調べてでてくる方法は、「自分の会社にはほぼ役に立たないこと」が説明していることがほとんどです。
ガン無視した方が良いです。
本についても、何かしら1冊の本で申告書が書けるようにはまずなりませんので過度の期待をしてはいけません。
やるべきこと
◎市販の本で法人税申告書の「別表についての概略」を理解する
◎細かい申告書の記入は税務署に聞いて完成させる
◎決算書までは完璧に作っておく
法人税申告書の記入の仕方を理解するのは素人には難しいです。
がしかし、一定数の税理士事務所が格安で法人税の申告書の作成を受けている現実を理解すると、法人税申告を自力で作成できるコツがわかってきます。
格安でできている理由は、税理士本人が作成しているのではなく、何の知識のないアルバイトに作成させているからです。
つまり何の知識のないアルバイトでも法人税申告書が作成できてしまうということです。
なぜならば、仕組みを理解できなくても、「決算書のここの数字」を「別表のここに入力する」というのが決まっているためです。
これを逆手にとれば、自分で決算書をしっかり作れれる前提であると、その数字を持って税務署にいけば、「決算書のここの数字」は「別表のここ」と指示してくれ、それだけで別表は完成するということす。
そのために、最初は
・自分の会社にどの別表が必要になるかの理解
・簡単に書ける別表は書いておく
この2点だけをやればいいわけです。これは市販の本で十分対応できます。
ここまでを自力でやり、あとは税務署に言って、決算書の数字は完成し、わかる範囲の別表は書いていますが、残りがわからないので教えてくださいと言えば終わりです。
そのあと、「あとから」、決算書のこの数字が、別表のここに連動しているんだと覚えればいいだけです。
決算書のこの数字が、別表のここに連動しているんだというのがうまくまとまっているのが以下の本です。
がこの本は上で書いたような別表と決算書の関係をうっすらでも理解していないと、極めてわけのわからない本に思えてしまうと思います。
そのかわり、別表と決算書の関係がうっすらでも理解できていれば、その知識を深めるのに役に立ちます。この本以外には、この関係性にたくさんの紙面を割いている本は見当たりません。要は使い方次第です。
以上のように取り組めば自力で法人税申告書を作成することは可能になります。
実際私はそのようにしてやりました。
☆まとめ☆
税理士なしで法人税申告書を作成しようとすると一番のネックになるのは別表の作成だと思います。
難しい別表の書き方を最初から自力でやろうとすると頓挫してしまう可能性が高いと感じます。それを防ぐためにはむずかしいことは税務署を頼るということをやるといいと思います。
最初はハードルが高い印象を受けますがその後、継続的に税理士費用が削減できます。生涯の費用削減効果は数千万級なので自力でやる価値は十分にあると思います。
さらに、その辺の税理士と会話をしても自分の会社にかかることであれば同等かそれ以上の税務知識レベルになります。逆に難しい試験に合格した税理士の間違いを指摘できるレベルまでに私でもなり、真剣にやれば短期間で税理士級になれるという自信になりました。是非チャレンジしてみてください。
以上、自分で税理士なしで法人税の申告書を作成して感じた法人税申告書(別表)の細かい書き方は「最初は」税務署で聞くのが効率的ということを書かせていただきました。
Comment
[…] 法人税申告書を自分で作成してみた […]
私は自力で申告することに挫折し、会計freee+全力法人税で申告しました。過去2回とも、税務署からケチはつけられませんでした。
コメントありがとうございます。
全力法人税があると税理士なしでも申告できる可能性が高くなるみたいですね。
私も最初は全力法人税を検討しましたが、毎年?か税率が変わるたびに、その都度料金を払ってアップデートする必要があるようだったので、自力でやることにしました。
税理士を雇うよりは格安にできますよね。
私の場合も『自分で』申告書を書こうとしたら挫折していたと思います。記事中に書かせていただいたように、書き方を『税務署』で聞いたから完成させることができました。
この事実を知ってもらいたいと思って記事を書かせていただきました。
かなりの人が自力でできるようになるのではないかと思っています。そうは言っても200時間くらいの勉強は最低限、必要になると思いますが。
税務署は間違っていてもその時に指摘せず、『後から税務調査で』指摘するのが常套手段ですので、私は自分で申告はできたものの税理士に払う報酬より少ない追徴課税を食らう覚悟をしています。