法人税申告書・別表5-2の書き方~事業税だけ別扱い~

目次
法人税申告書・別表5-2の書き方~事業税だけ別扱い~
法人税申告・別表5-2の書き方をご紹介させていただこうと思いますが、その前に私のおかれている状況をお伝えしておきます。
私は2017.10に弱小法人を設立したため法人決算を自分でするか税理士に投げるかの選択を迫られました。
それまでずっとサラリーマンでかつ営業職だったので経理とは無縁で、簿記3級がある程度の実力しかありません。
がしかし、税理士を雇うだけのお金がもったいので法人税申告書を本やネットで情報収集しながら自分で法人決算の申告をすることにしました。
・現在2019年10月現在:法人3期目(2017年法人設立)
・1期目は税理士なしで法人税申告書作成し申告すみ
・2期目も税理士なしで法人税申告書作成し申告すみ
・顧問税理士なし
ということで結果は、税理士がいなくても申告ができています。なんとかざっくりと申告書の作成ができる手ごたえを感じてきているのが実情です。
そこで感じたのが法人税の申告書は自分で作成するのが難しいと言われていますが、それは「わかりやすい書き方が存在していない」ためだと思っています。
そのため私なりに理解に苦労しそうなところの解説を交えて、わかりやすい書き方を作ってみました。
別表5-2は対応する場所が決まっているので数字さえ正確であれば、ここの数字をあそこに記入して・・という作業で完成するようになっていることに気が付いたからです。
それぞれの企業が採用している方式により違いはあるかもしれませんがオーソドックスと思われる方法でかつもっともシンプルな基本となる書き方をご紹介させていただきたいと思っています。
細かいところや深い知識やイレギュラーな書き方が欲しい方の要望には答えられませんので理解お願いします。
以下、別表5-2の余計なものがないシンプルな書き方です。
別表5-2は税金をどういう方法で処理しているかを示すものです。以下を順番にご紹介させていただきます。
①前期の税金納付の記入の仕方
②中間の税金納付の記入の仕方
③当期の確定した税金納付の記入の仕方
STEP1:前期の納付の書き方
前期の利益に対する税金を「未払い法人税等」で前期に会計上で費用計上していると思います。
法人税、住民税及び事業税 〇〇/ 未払い法人税等 〇〇
その税金金額の内訳をそれぞれ上表の①前期(法人税・地方法人税)②前期(都道府県民税)③前期(市町村民税)に記入します。
「未払い法人税等」で会計上費用計上しているので「充当金取崩しによる納付」の欄に記入することになります。
事業税は「前期分の税金」であるが、当期発生税額に入力。
つまり事業税だけが「前期分の税金」を当期発生税額の欄に記入します。
なんで前期の税金を当期の発生税額に書くのでしょうか?
事業税は支払ったとき日に損金算入するとルールのためです。下の図参照です。
前期に発生した事業税額分を「当期」支払うことになります。
事業税は支払ったときに損金算入するといるルールになっています。
よって前期の税金ではありますが、税務上は「当期」に損金計上することになります。
そのため事業税だけ「当期発生税額」の欄に記入して、充当金取崩しによる納付に同額の数字にスライドさせるという処理をします。
前期分の事業税も前期に未払い法人税等で会計処理しているため充当金取崩しによる納付になるからです。
「会計上」と「税務上」の違いをしっかり頭に入れるべし
会計上というのは通常の利益計算上ということです。
ざっくり読み進めているとスルーしてしまいますが、「会計上」と「税務上」では扱いが違いますので注意して読む必要です。
事業税を例にだすと「会計上」は前期の確定した事業税額は未払い法人税等で「前期に費用計上」します。
が「税務上」では前期分の事業税は当期に支払いをするので「当期に損金計上」することになります。
この理解がないと、前期の費用なのに当期の損金?とはどういうことだ??となってしまいます。
まとめておくと以下です。細かい言葉の違いですが、扱いが違うのでしっかり頭に入れおく必要があります。
BS.PLでの扱い 別表での扱い 会計上 税務上 費用 損金 収益 益金 ※具体例:「会計上」前期の事業税は前期に「費用」計上しますが、「税務上」では支払うのが当期になるため当期の「損金」になります。
STEP2:納税充当金の計算の期首納税充当金(30)の記入
そして前期分の①②③④の合計を別表5-2の下半分の納税充当金の計算の期首納税充当金(30)に記入します。
STEP3:取崩額の法人税額等(34)と事業税(35)を記入
下図のように取崩額の欄の法人税額等(34)に①②③を事業税(35)に④を記入します。
取崩額の欄の法人税額等(34)には下に(5の③)+(10の③)+(15の③)とも書かれているのでわかりやすいと思います。
取崩額の欄の事業税(35)も下に(19の③)とありますので確認ができると思います。
全体でみると下図のようになります。
STEP4:取崩額の欄の合計(40)にも記入
取崩額の欄の合計の(40)の欄にも①②③④の合計を記入します。
これで前期の絡む税金は終了します。
STEP5:中間の税金納付の書き方
当期の税金を当期に処理するため、わざわざ未払法人税等で受ける必要がないためです。
法人税申告の本をたくさんみていると一部、中間での納税も納税充当金でのやり方を説明しているもののありますが、通常は損金経理による納付で処理します。
したがって上の図のように税額を「当期発生額の中間」のところに記入し、「損金経理による納付」にスライドさせ記入します。
中間の税金納付で記入すべきことを以上です。
STEP6:当期の確定した税金納付の書き方
当期の納めるべき税金額が確定したら、当期確定金額をだします。
そして当期分の確定金額を下図のように記入していきます。
当期発生税額の確定の欄と期末現在未納納税額の欄に記入します。
ここでもわかりずらいのが「事業税」です。
なぜなら事業税を記入する必要がないからです。
会計上では当期の事業税として費用計上するものの、税務上は「当期の確定事業税は来期に支払うため来期の税金」で、当期には関係ないということなんだろうと私は勝手に思っていますが、解釈は良くわかりません。
事業税はどこに書くのか?と悩んでも書くところはありませんので、悩むだけ無駄になりますので注意が必要です。
ここが勉強していると本当にわかりにくかったです(´Д`)
STEP7:損金経理をした納税充当金(31)と計(33)と期末納税充当金(41)の記入
そして下の欄の損金経理した納税充当金の記入へ移ります。
損金経理をした納税充当金(31)はその名前のとおり、当期で損金経理した未払い法人税等の額を書けということです。
未払い法人税の額には事業税額が含まれること
当期確定した税金納付の欄では事業税を記入する欄はありませんでした。
が損金経理をした納税充当金(31)の金額は当期確定した税金納付の欄で書いた⑤法人税および地方法人税の確定額⑥都道府県民税の確定額⑦市町村民税の確定額に加えて事業税の確定額を加えた貸借対照表における未払法人税等の額を記入することになります。
貸借対照表(BS)の未払い法人税等の額
=⑤法人税および地方法人税の確定額+⑥都道府県民税の確定額+⑦市町村民税の確定額+事業税の確定額
確定した額では事業税を書くところがないのに、損金経理をした納税充当金(31)には事業税の確定額をふくめるんかい( `ー´)ノとここも勉強していてわかりずらかったです。
☆まとめ☆
単純な場合の別表5-2の書き方をご紹介させていただきました。
冒頭に書きましたように個々の企業によって状況は違うと思いますが大枠は理解できると思います。
わかりにくくしているのが事業税でした。
この事業税のことがほとんど言及なくあたかも周知の事実のごとく説明する本が多いのでなんでそうなるのかを理解するのに時間がかなりかかりました。
実際にどうなるのかを計算してみる方が理解を深めることができると思います。
ほとんど本が減価償却や貸倒引当金等が入ってきてシンプルな数字で演習ができないものが多いですが、シンプルな別表の計算ができるわかりやすい本をご紹介させていただきます。
この本で演習とすると理解度が上がると思います。
下記でも紹介させていただいています。
もっと複雑な状況での書き方が知りたい方は以下の本をおすすめです。
以上法人税申告書・別表5-2の書き方~事業税だけ別扱い~について書かせていただきました。
私は税理士なしで法人税の申告を行いました。実際にやった方法等は以下で書いています。
気になる方は↓をみてみてください。
どうしても自力でやるのが難しいと思う方は下記で専門家に頼むといくらになるのか相談してみるのも良いと思います。