行政書士・アガルート入門コースだけでは合格に届かない可能性が高いと思える。

私は令和2年(2020年)の行政書士試験にアガルートの入門総合カリキュラムを受講して挑戦しました。
結果は152点で不合格でした。180点で合格です。
かる~く片手間に勉強した人も、ガッツリ勉強した人も、落ちる人はだいたい150点~160点になるという行政書士試験の仕組みをハックしないと万年受験生になってしまう恐ろしい試験です。
士業の資格として簡単と言われているみたいですが、ものすごく難しい試験だと私は感じます。
令和3年度は市販の本で再度行政書士に挑戦しようと勉強中ですが、市販の本で勉強しているとアガルートの教材の実力というか内容が比較できるようになりました。
そこで、ご参考になればと私が実際に令和2年でアガルートの入門総合カリキュラムを使ってみた感想・体験談をご紹介したいと思います。
※あくまで私の場合の体験談です。アガルートさんを批判しているわけでもなく、純粋に利用してみて、感じたことを率直に書いています。
基礎力をつけるには、とても良い教材だと思いますが入門総合カリキュラムでは合格に届かない可能性が高いと私は感じます。(私は実際不合格に・・。)
合格の確度を高めたい方は初学者であっても、上のコースの演習総合カリキュラムや上級総合カリキュラムを受講した方が良いと思います。
目次
私の受験する前の知識はどれくらいであったか?
私は完全なる法律初学者です。
40代のおっさんで大学は経済学部、その後証券会社で約17年営業として勤務した後、物販で起業しました。
法律には全く触れていません。
が大学は慶応大学なので、そこそこ勉強はできる方だと勝手に思っています。(見事に不合格になりましたが・・。)
物販で古物商許可をとったり、法人を住所変更などを自分でやり、これを行政書士としてやれば3万~5万もとれることがわかり、やってみようと思った次第です。
その思い立ったときの記事です。
結局は1000時間~1200時間を費やし、アガルートの入門総合カリキュラムと合格革命の肢別過去問集(テキストは買わず)をメインでやりましたが、見事に不合格になりました。
当時ケチっていたので、他には目をくれずアガルートのみで勝負しました。のちにあまりにも過去問がとけないので、合格革命の肢別過去問集だけは買ったという状態です。
↓不合格の理由は以下で分析しています。こういうことをやると不合格になると知りたい方はどうぞ。
行政書士のアガルートの入門総合カリキュラムはどんなことをやる?
令和2年でアガルートの行政書士入門総合カリキュラムはざっくり以下2点でした。
他にも条文の読み込み講義がありましたが、後述しますが、「講義→過去問=全く解けない」ということがおき、とてもではありませんが、条文の講義までは進めないという状況になると思えます。
そのために実質的には以下の2点と考えるのが無難です。
①講義動画
②過去問10年分
ざっくりの流れとしては講義を聞いて過去問をやるをひたすら繰り返すというものだと思います。
が私はやった感想しては講義→過去問というのがやりにくい状況になっています。
つまりは講義を聞いて過去問を解いても、チンプンカンプンという状況になります。何度講義を聞いてもそうなります。
個人的には入門総合カリキュラムと徹底的にやっても合格には届かないと感じています。
講義の内容が基礎を理解するために力点が置かれており、試験で点数を取るための講義でなかったと私は今振り返ると思います。
具体的に理由を説明していきます。
基本講義(講義時間200時間)が教え方・話し方は最高レベルに上手だが・・・。
・民法・行政法・商法(会社法)・憲法(基礎法学)・一般知識のテキストが配布され、それに対応する講義動画(約200分)あるというのがメイン教材です。
・民法(50時間)
・行政法(45時間)
・商法(会社法)(25時間)
・憲法(基礎法学)(40時間)
・一般知識(25時間)
これは全講義、説明がうまいと定評のある豊村先生がやってくれます。
つまらない法律の勉強があまり嫌にならずに講義を聞くことができると思います。話し方、説明の仕方のかなり上手で最高レベルだと感じます。
youtubeに色々な講義動画が無料でアップロードされているので確認いただけると思います。
であればさぞ、講義のあとに問題を解けば解けるようになるだろうと思うわけですが、実際は・・。
この講義を聞いて過去問を解いても半分程度までしか正答率が上がらない
というおそろしいことがおきます。
通常は以下を繰り返し知識の定着を図ると思います。
講義を聞く(テキスト読む)→問題解く→ある程度解ける→わからない箇所再度講義聞く→問題を解く
がアガルートの講義→過去問のループをやっても一向に合格圏内まで伸びる気配がありませんでした。
私は民法・行政法の講義をこれでもか!と4周~5周(1.5倍速で)聞きましたが、一向に点数は伸びませんでした。
※経験者ならともかく、初学者だと教え方がいいだけにこの講義では不十分である可能性にはまず気が付かないと思われます。(私がそうでした・・。)
講義では基本的なことを理解することが重要視され、試験対策までには至っていない
アガルートの入門総合カリキュラムでは超丁寧に基本事項を説明してくれています。
↓行政手続法の聴聞に関する(24条)周辺のテキストですが、説明文だけしかありません。
なので、後で過去問を解きながら、「自分で」ラインを引いてH29に出題したなど試験対策用のテキストに加工しています。
※後からみるとこれだと不合格になるのがわかります。(試験で問われる細部まで覚えようとしていません。)
すぐあとで説明しますが、どこが出題されたかに加えて、どの文字が変更されて問題となるのかのチェックがありません。
出典:令和2年アガルート行政法テキスト
つまりは、アガルートのテキスト及び講義は「どこが試験に問われた箇所で重点的に理解しておくべきことかを示すことなく、まんべんなく全体的に説明する」という講義スタイルをとっているわけです。
初学者からすれば、教え方は上手でも「どこを重点的に覚えたらいいかわからない状態」で、手探りでどこが重要ポイントか?は過去問をやりながら探っていくことになります。
あまり効果的な勉強ではないように感じます。(今だからそう感じますが、当時ではそんなことを全く思いませんでした。)
行政書士試験では、以下のような細かい問題が頻出します。
ある条文がまんま乗っており主語だけが変わっている問題の正誤判定問題。行政手続法の24条(聴聞)であればは以下を注意する必要があります。
〇:行政庁
×:主宰者
〇:当事者または参加人
×:当事者または参考人
〇:報告書を返戻し
×:聴聞調書・報告書を返戻し
まんべんなく勉強していると条文はあっていそうだからと間違えてしまいます。
ピンポイントで主語まで正確に覚える必要があることまで勉強する必要があります。
語尾だけが変更されている問題の正誤判定問題
〇:~することができる
×:~しなければならない
これなども、法律だから圧倒的に~しなければならないの条文が多いわけですが、まれに~することができるという条文があります。
これも意識的に、~することができるの末尾は狙われるから注意しておこうという勉強が求められます。
最初から、そのレベルで問われることを理解させ、講義でもそのような教え方をしないと点数には直結しないのが行政書士試験の難しいところです。
ざっくり全体をフワ―っと理解できるようになるレベルだとことごとく間違える試験になっているわけです。
がアガルートの入門総合カリキュラムのテキストおよび講義内容は全体的にフワーと進んでいきます。
一方で不合格になってから買った合格革命のテキストの同じ行政組織法24条周辺のページをみています。
あらかじめテキストの解説文に過去問に問われたことが記載されています。かつ、重要語句は赤字にしてくれています。
ちゃんと「どの語句を注意して覚えればいいか」がわかりやすくなっています。アガルートのテキストではノーマークの「報告書」「聴聞調書」など赤字で協調されています。
これを覚えておぼえるレベルにならないと不合格になるよと示唆してくれています。
圧倒的に合格革命のテキストの方が勉強しやすいですし、試験に合格するために対策されたテキストになっていることに気がつきます。ドコが試験にでて、何を覚えるべきかがわかりすくなっているからです。
合格革命のテキストをケチって買わなかったことに後悔しました_| ̄|○
私は講義でもこのレベルでやって初めて合格できる講義になるものだと思います。
両社のテキストを比較してみるとアガルートのテキストが試験対策としては不完全な仕様になっていることがわかります。
アガルートのテキストおよび講義で勉強していると、とてもではないですが上で例に出したような細かいレベルの問題には答えられるようにはならない確率が高くなります。(私がそうでした・・。)
やってもやっても点数が伸びないということになりがちです。(だってそこまで説明されていない講義だから・・)
↓そのときの苦悩を書いています。
問題として用意されているのが過去問10年分だけで圧倒的に問題演習不足
さらにアガルートの入門総合カリキュラムでは、問題演習は過去問10年分だけです。
これも今だからわかる話ですが、行政書士の試験は下図のように過去問10年分では圧倒的な問題演習不足で不合格率が高くなる事実を理解しました。
試験範囲をテキスト・過去問がどのくらいカバーしているか?のざっくりの図です。
テキストは試験範囲の95%をカバーしており、過去問10年分だと約50%くらいしかカバーできていないという意味です。
その点は↓に行政書士試験に合格するために必要な勉強法を解説した動画があります。
私は現在、大原の行政法トレーニング問題集をやっています。
行政組織法のところだけでも50問もあります( ̄ー ̄)ニヤリ。肢別過去問集なら4問しかありません。
これだと大量の問題をこなすことができ、これのレベルで問題を解いていると初めて過去問がほとんど見たことある問題へと変わっていきます。
10年分の問題だけは圧倒的に問題演習不足すぎると感じます。
条文を理解していたと思っても、ちょっと出題パターンを変更されたら対応不能で間違うからです。
アガルートの入門総合カリキュラム「だけ」だと合格には届かない可能性大
アガルートの行政書士講義は、教え方・話し方が最上級にうまい豊村先生が教えてくれます。
入門という名前にふさわしく、本当に法律を知らない初学者が基礎を学ぶには本当に良いものだと思います。
がしかし合格するレベルには達しない可能性が高いと思います。(あくまで他に何もやらなかった場合です)
理由は上で説明したように以下2点です。
①説明が試験対策になっていなく全体的にまんべくなく教えるスタイルのため、わかった気になるが点数は取れない状況になりやすい。
②問題演習が過去問10年しかないために、圧倒的な問題演習不足になる
17万も払っているのだからアガルートの入門総合カリキュラムだけでいいっしょ!と思っていると不合格におそらくなると思います。
私は1000時間~1200時間使って落ちました。
令和2年9月末の段階でざっくり800時間~900時間勉強していますが、手ごたえはスカスカでほぼ不合格なると悟っています。
講義→過去問でも解けるようにならないので、ひたすら講義を聞きました。講義を聞いた時間は600時間くらいだと思います。
それでも解けるようになりませんでした。
今までご説明したように、アガルートの入門総合カリキュラムは基礎中の基礎を教えることに力点が置かれていると思われるからです。
よって行政書士試験においてアガルートの入門総合カリキュラム以外は何も手を出さないとするのは極めて危険だと思います。
※ケチらずに他のテキスト・問題集を積極的に買って補完すべき
今まで紹介した合格革命の基本テキスト、大原の行政法問題トレーニングに加えて、いいと思うお勧めは以下です。
わかりやすくて知識の整理するのに役に立ちます。
※あくまで個人的に感想・体験談です。
色々と書きましたが、アガルートさんを批判しているわけではありません。
一番の原因は、不合格になった私の努力不足だったと思います。
が一般的に言われる行政書士を合格するために必要な勉強時間600時間~1000時間を上回る1000時間~1200時間勉強をし、かつアガルートさんの講義を受講したのに不合格になりました。
やり方が間違っていたのかもしませんが、個人的にはそのために1000時間を超える勉強をしてきました。
おそらく、アガルートの行政書士入門総合カリキュラムだけでは合格レベルに達するレベルにはなりにくいと思われます。
メイン教材である講義の内容は基本的なことを全体的を丁寧に教えるという作りになっています。
試験に太刀打ちできるまでの知識はつきにくいと思います。その状態で過去問演習に入るとほとんど解けないという悲惨な状況になってしまいます。
ゆえに他のテキスト等で試験に対応できる知識の習得を補完する必要があります。
加えて問題演習も過去問10年だけでは圧倒的に問題演習が不足します。
ゆえに他の問題集等で問題演習を補完する必要があります。
つまり試験対策用の勉強を別のテキスト・問題集を用いてやらないと合格は厳しいと思います。
試験の合格レベルに達しないで、基礎力が向上するカリキュラムに約17万は正直高かったな~というあくまで個人的感想です。(合格して全額返金してもらうつもりでしたが・・。)
ただ全くの初学者が法律を勉強するのは結構苦痛です。なので考え方によっては、知識0レベルから基礎力をつけるために17万払うというのも考え方によってはありなのかもしれません。
が目的は合格なので、最低限、やっていれば合格に達するカリキュラムであってほしかったというのが率直な感想です。(私の使い方が悪かっただけかもしれませんが・・。)
合格の確度を高めたい方は初学者であっても、上のコースの演習総合カリキュラムや上級総合カリキュラムの方が良いと思います。
というわけで素直な感想・体験談をご紹介しました。